初体験〜3針縫合の巻き

学校から帰ってきた次男
なんや、暗い。
元気がない。

「どしたん?しんどいんか?」
「ううん。あんな・・・」って
学校での出来事を話す。
20分休みに遊んでいたら怪我をした。
体育倉庫のシャッターで左人差し指を負傷。
保健室に行ってを処置をしてもらって
包帯をまいていたがお昼休みまで
血が止まらんかった。

と血がにじんだバンドエイドの指を見せられる。

「ほんで、保健の先生はなんて?」
「血が止まらんかったり、痛くなったら病院に行きって。
病院に行ったら、たぶん、縫いはるって」

縫いはるって傷なら病院に行ったほうがいいって
云わんか?って思う。
ちょっと不服の私。

傷、見たろかしらん?って思ったが
なんせ痛がり、怖がりの次男。
うるさいから止め。
「兄ちゃんの病院に行くし、ついでに診てもらおうか?」
「縫うのやろうか?」
「縫うかどうかは先生やないとわからんけど、
保健の先生がそういうなら縫うかもしれんなぁ。
それに縫うた方が早く治る」
「縫うのって痛い?」
「痛ない!全然、痛くない。
母さんも子供のときあごの下、縫うたけど全然痛くなかったで。
兄ちゃんもおでこ、2回縫うてるけど痛いっていうてなかった。
だから痛くない!!」って言い切る。

いや、ほんま。
子供のときヤンチャやった私は
(子供のときヤンチャやったというと、今もやんって誰かに言われたなぁ・・)
塀の上から足を滑らせて
(それも教会の塀やん。罰があたったのかもしれん)
あごの下から血まみれ状態で2針縫合してもらった。
それも麻酔なしで。

長男は幼稚園と小学校低学年のとき
転んでおでこが割れた。
血だらけやから病院に行って、縫合してもらった。
こいつも麻酔なしで。

2人とも縫うのは痛くない!って性質
いや、ほんま痛くなかった。
だから、次男にも名誉の負傷を見せながら
「痛くない。大丈夫やって!こんなん屁のかっぱ!」で
病院に連れて行く。

ついでがなかったら
たぶん、病院に連れて行ってなかったやろうと思うけど・・・

病院の先生に状況を説明したら
「シャッターは怖いで。下手したら指落とす。
この程度で済んでよかったなぁ。
しやけど、傷、深いわ。骨の手前の腱まで見えてる。
さぁ、縫うとこか。縫うた方が治りが早いしなっ!!」
っで
次男の顔がびびってる。

「なんや、どしたん?怖いのか?
痛くないようにしたるからな。」っていうから
「先生、あきませんねん。この子、怖がりやから」
「大抵、下の子って大丈夫やのになぁ」
「下っていうても3人の下やし。真ん中の兄ちゃんは大丈夫やねんけど」
「3人の下か、そりゃあかんなぁ。はっはっは・・」って
笑ってる間も
次男は顔は引きつってるやん。

うそやろ・・って思う私。

「痛くないように麻酔しとこな・・」って云った先生は
看護婦さんが麻酔の用意をする間、他の患者さんの処置のため診察室から姿を消す。

「母さん、麻酔って何?」
「縫うのに痛くないように注射するねん。」
「どこに?」
「指とちゃうかぁ」
「えっ」っと固まる
「大丈夫やで。麻酔したら縫うのは全然痛くない。何も感じん」

席に戻った先生
「ボク、向こうむいとき。こっちみたらあかんで」って
麻酔ですわ。
次男の右手はグーになって力がはいってるし、
顔はひきつってる。

かなんなぁ。ほんまあかんたれやなぁって思いつつ、
「もうちょっとやで」って励ます。

ようように終わったら
看護婦さんが
「先生、あかんわ。ボク、気分悪くなってる。」ってみたら
次男の顔は血の気がなくなって真っ青。
「向こうのベッドで寝かせよか」って
次男は処置室のベッドに連れていかれる。
寝かされた次男は冷や汗と血の気のない顔。

私は・・・薄情なんかなぁって自分で思うけど。
かわいそうとか大丈夫かとかより、
え〜うっそぉ〜
こんなことで・・・・
怖さの余り、顔色がなくなるって状況を
初めて目の当たりに見て、
不覚にもある種の感動を覚えてしまった。

こんなことってあるのやって、
精神的なことで引き起こる体の変化を
まじまじと見て、
気持ちってすごいねんなぁってそんなことを思ってしまった。

自分がこういうことに平気な性質やから
そんなことを考えたんやろうなぁ。
1人ぼっちで寂しいねん・・って云われると
そりゃ〜寂しいよなぁ、かわいそうにって思うけど
(私も寂しいがりややから)
こういう怪我って
男の子の勲章やん!泣くな、怖がるな!ってなる。
へ〜そんなに怖いものなんやって知る。

みな、自分を基準に物事を測るからなんやろうなぁ。
自分の尺度でモノをいうたらあかんってことなんやなぁ。
って再認識した。

顔色も戻った次男は
「母さん、これで終わりやろ?帰れるねんなぁ」って
「ううん、これからが本番やで。まだ縫ってないねんで。
でも、ほんま今度こそほんま、麻酔したから
全然、痛くない」
「ほんまぁ?でもなんか、手がじんじんしてる」
「それは麻酔が効いてるってことやで。
感覚がなくなってるからやで。だから痛さも感じんねん」
「ふ〜ん」
って疑ってる様子。
(あかんなぁ。気持ちで痛くなるやろな・・)って内心思う。

先生に
「お母さんはあっちで待ってて」って云われたからそこから姿を消す。
たぶん、その処置している状況を
母親っていうものは、我が子がかわいそうで見ていられないって
配慮と
子供に甘えが出て、よけい痛がるってので
退室させはるのやろうなぁって思うが
私、大丈夫やのになぁ。

子供がもっと小さいとき、
点滴をする段になって
「お母さん、つらいやろうからあっちに行ってて」
って云われたことが何度もある。
最初は言われるとおりにしたが
そのうち
「大丈夫ですわ。身体、押さえときます」と
子供が嫌がって先生の仕事の邪魔をしないように勤めた。

結局、次男の顔色が悪くなったようで
処置室から
「お母さん、入ってきて!そばにいてたって」って
呼ばれた。
外待合で本を読んでいた私は慌てて飛び込んでいく。
縫っていた。
うわっ縫ってる!縫ってる!って
思わず、顔を近づけて見てしまった。
私は処置している様子を親に見せるべく呼ばれたと思ったんやけど
少しして
子供が私をそばに呼んでほしいと望んだと知る。

母親ってすごいねんなぁ。
こういうときにそばにおってほしいって思ってもらえる存在なんや。
そんな存在の自分に感動して
こいつかわいいなぁって次男を見る。
顔、まだひきつってる。うそやろ・・・

帰り道々、
「なあ、痛くないってうそやん!」って
兄と私に云う。
「え〜ボク、おでこ縫ったとき、ほんま痛くなかったで。
あの時は麻酔もせんかったけど、ほんま痛くなかった」と兄ちゃん
「麻酔しても痛かったで。ものごっつい痛かった。
信じられへん痛さやった」って
「痛いのとちがうかって思うから痛いんやで、きっと」っと兄ちゃん
(そやそや)って心で思う私
「痛かってんなぁ。よ〜我慢したなぁ」と口で云う。

いろいろ発見した次男、3針縫合の巻きでした(^^)v

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