相続手続き〜遺産分割協議書の作成

義母の遺産相続の手続き、無事に終わりました。
手続きに必要な事柄は成年後見人制度の申立をしたことにより明確に整理されていたので、その点は楽に進みます。
さぁ、相続の手続きを、と戸籍を取り寄せたら、予想外の展開!!なんてことはありません。
いえ、予想外の展開はすでに経験済みです。
成年後見人の申立をする際、被成年後見人の法定相続人を明確にしなければなりません。
義母の出生から現在までの戸籍謄本を取り寄せます。
10年ほど前のことです。
ここで想定外のことが起こりました。予想外の展開!!です。

成年後見人になるには、法定相続人全員の承認が必要です。
義母の法定相続人は義父と我が相方だけのはずでした。
義父母を大阪に連れてくるまで、義母は初婚で義父と結婚したと思っていましたが、実は義父母は再婚同士だったのです。
我が相方は義父の連れ子です。一人っ子です。
義母の戸籍謄本を取り寄せるまで、一人っ子でした。
義母の戸籍謄本を郵送で取り寄せたとき、手数料の支払い用に同封した定額小為替が「戸籍謄本の枚数が多くて足りない」と役所から電話がかかってきました。
多めに入れていたのにです。
言われるまま、その提示された金額分の定額小為替を再送します。

そして、返ってきた義母の戸籍謄本には義母の実子の存在が明記されているクダリがありました。
義母も再婚だったことは、大阪に連れて来た直後、義母と散歩をしているときに知ります。
ちょっとした衝撃です。
認知症によりタガが外れたのでしょうか。
自身が離婚したとき、温かく迎え入れてくれた母親の優しさをしみじみと話してくれたのです。
えっ?!離婚って!結婚してたの?という驚きを隠し、義母の「お母さんってありがたいものなんじゃ」に相打ちを打ちます。
この時点で実子がいてることは考えも及びません。
義母に実子がいたことは(それも2人)義父さえ知りません。
それが戸籍謄本を取り寄せたことで動かぬ事実として顕になりました。
成年後見人申立時の家庭裁判所での最初の面談では、その実子の居場所を探し、コンタクトを取り、成年後見人になることの承認を得るように指示されます。
裁判所の参与人の方には、「居場所を探すのは素人では流石に無理なので専門家に頼んだら?」と言われます。

義母の前婚での戸籍謄本には実子の方の様子が見て取れます。戸籍謄本はなかなか奥が深いです。
婚姻により本籍の除籍と次の本籍地が明記された娘さん、本籍が出生時のまま動いていない息子さんの記載があります。
私はダメ元で成年後見人の申立に必要との理由とともにその戸籍の附票を取り寄せます。

戸籍の附票とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。

戸籍の附票により、私はいとも簡単に義母の実子の方の住民票を手に入れることができました。
これら一連の作業は郵便での戸籍謄本請求で可能です。
本籍地、住民票を転々と移されていなかったことが功を奏したのかもしれません。
その住民票を家庭裁判所に送付します。
義父が義母の実子の存在を知らないこと、私たちは一面識もない状況であること、そしてこちらの心情をつらつらと綴り、実子の方へのコンタクトを家庭裁判所にお願いしてみます。
成年後見人申立の了解を得るための作業を家庭裁判所に委ねます。
昨今ならその時点で弁護士なり専門家の対応を提示され、その流れで成年後見人も専門家が選任されていたかもしれません。
家庭裁判所も当時はまだそんなに手続きに忙しくなかったのかもしれません。

そうこうすると、家庭裁判所から成年後見人申立が認められた書面が届きました。
家庭裁判所が義母の実子2人の承認を得たようです。
結局、その後、義母も私たちも実子のお2人方とは会うことなく日が過ぎていきました。
こうして成年後見人の申立をしたおかげで義母の死後、事後処理すべき事柄は綺麗に整理されました。
それをどの順番で対応したらシンプルかつにスムーズに進むかを考えます。
葬儀屋さんが提出してくれた義母の死亡届を持って、まずは役所関係です。
国民健康保険、介護保険の死亡手続き、年金事務所で年金手続きと続きます。

実父が亡くなったときは実母のために実父の遺族年金の手続きをしましたが、義父母の場合、その必要はありません。
義母の年金を止めるだけです。その中で義母が前婚のときにかけていた年金について、いくらか受給をしていなかった事実が判明します。
その分は義父が受け取れるらしく、言われるままその手続きをします。
ここで私は離婚話を打ち明けられたときに義母が言っていた謎が解けます。
「私の給与も姑が取るんじゃ」と離婚の理由のひとつであろう事案の謎です。
給与を取るってどういうこと?が心に残っていました。
公に記されている記録は人生の一端を確実に残しています。

義母名義の金融機関については施設等の引き落としがあるので、しばらくはそのままです。
義母の死亡を金融機関に伝えて凍結されると引き落としができなくなります。
こちらから告知をしない限り、金融機関は義母の死を知り得ません。そのままやり過ごすことにします。
年金等手続き先の窓口でも、「まだ金融機関は止めていないですよね」と確認されます。
凍結されると役所も困るようです。
役所関係、施設退所手続き、生命保険解約等を終えました。

最後のステップは義母の遺産相続です。
一番危惧していたのは、成年後見人制度で半ば強制的に契約した信託銀行(後見制度支援信託)の解約です。
後見制度支援信託は年金の振込や日常の施設等支払いの口座に定期的に決まった金額を振り込む仕組みになっています。
簡単にお金を動かせないようにするための施策です。
義母の場合、振り込まれる年金だけでは施設等の支払いが足りないので、その不足分を半年に1回、信託銀行から振り替えてもらう契約になっていました。
その判断は裁判所指名の弁護士がおこないます。
入院等、万が一、大きなお金が必要になったときは家庭裁判所に申し出をして承認を得なければ、信託銀行のお金は動かせません。
なんせ、被成年後見人の財産を守るための後見制度支援信託ですから、そう簡単に引き出すことはできないシステムになっています。
そんなガチガチの信託銀行です。
解約手続きもきっといろいろ面倒くさいのではと危惧します。

まず、私は信託銀行に電話をかけ状況を説明します。
がん保険の解約のときのように、法定相続人でない私の電話はけんもほろろ扱いをされるのではと覚悟して電話しました。
家庭裁判所指名の弁護士でないと契約さえできなかった後見制度支援信託ですから、がん保険会社より厳格に違いないと思ったわけです。
それがそんなことはなく、すんなり相続担当の方に電話が取り次ぎされ、必要な書類の説明をされます。
相続担当の方に遺言書の有無を問われます。遺言書はありません。
法定相続人と遺産分割についての話の有無も問われます。

これについては、義母の死後、10日ほど経ってしまいましたが、実子のお2人に状況の説明等お手紙を送っています。
大方10年ほど前に戸籍の付票で調べた住所の控えを保管していた私は引越ししていないことを願ってその住所に送ります。
万が一、引越しされて住所不明であれば所在探しからはじめなければなりませんでした。
ありがたいことにその必要もなく10日ほどして返信のお手紙をいただきました。
義母の実子の方との初めてのコンタクトです。
お手紙には相続権利は放棄する旨が書かれています。
お手紙での相続放棄の意向だけでは、相続放棄は認められず、コトを進めることができません。
相続放棄は家庭裁判所で手続きを踏んでもらわなければなりません。
そんなお手間をお願いするわけにはいきません。
手間をかけることなくシンプルに進められる方法として相続放棄ではなく遺産分割で対応することにします。遺産分割協議書を作成します。
義母の場合、信託銀行の相続手続きには下記が必要です。

    義母の出生から死亡までの戸籍謄本
    養子縁組した子の戸籍謄本
    信託銀行指定の用紙
    相続財産の振込先
    法定相続人全員の印鑑登録証明書

義母の出生から死亡直前までの戸籍謄本については10年前に取り寄せた戸籍謄本で対応可能と説明されます。
死亡後の最新の戸籍謄本は年金事務所での手続きで必要だったこともあり、すでに複数部取り寄せていたので手元に残っています。

出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せると4,000円や5,000円かかる可能性があります。
成年後見人申立時、義母の戸籍謄本を取り寄せたときはトータルでもう少しかかりました。
最新の直前までの分は変更することはないので10年前に取り寄せたもの、原本であれば問題ありません。
相続手続きの添付資料として問題なく利用できます。

相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の原本が複数部必要になる場合があります。
義母の信託銀行では原本は手続き終了後返却されるので、それをまた次の手続きに回せばコトは足ります。
同時進行ならそうはいきません。
また、原本を返してもらえないこともあります。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を2部ずつ取り寄せたら1万円を超えてしまうかもしれません。
それを回避するためなのか、2017年に「法定相続情報証明制度」が始まったようです。

法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出していただければ,登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。
その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。

今回、信託銀行から送られてきた書類の中に「法定相続情報証明制度」の案内チラシが入っていました。
義母の相続でこの制度を利用すると手間が増えるだけです。
今後はこの制度も視野に入れて対応策を練ろうと思いますが、想像するに多分その必要はないような気がしています。
不動産の名義変更をした実父のときにこの制度があればよかったのでしょうが、この制度が始まる前の年に実父は亡くなっています。
その事態が発生する前に該当事柄をシンプルに整理しておくのがベストではなかろうかと、実父と義母の相続対応をして実感しています。
もしくは有効な遺言書があればコトはスムーズに進むのかもしれません。
実父も義母も遺言書を遺すほどの財産を持ち合わせていなかったからか、もしくはその思考がなかったからか、遺言書はありませんでした。
遺言書があった場合の相続対応も経験したいものですが現時点では可能性ゼロです。

さて、必要書類に話を戻します。
養子縁組した子の戸籍謄本は我が相方の戸籍謄本になります。これはすでに取得済みです。
養子が法定相続人になるにも決まりがあるようです。
連れ子の場合の養子は問題ないようですが、そうでない場合の養子は実子の数により制限があるようです。
義母の介護をする状況になったとき、私が最初にしたのは義母と我が相方の関係を明確にすることでした。
戸籍謄本を取り寄せます。ここで養子縁組をしていることを確認します。
これは非常に重要です。養子縁組していなければ義母の成年後見人にはなれませんし、重要な場面で何もできません。

また、話がそれました。必要書類の話です。次は印鑑登録証明書の交付です。
実印用のハンコを作り、それを持って役所に出向き印鑑登録を済ませることで、そのハンコは実印となり、印鑑登録証明書の交付が可能になります。
実印と印鑑登録証明書が必要な場面は一般的にはそう多くはないでしょう。
私の場合、遺産相続のとき以外は今までもこの先もないと思います。
実子のお2人にお手間をなるべくかけることなく手続きを進めたいと思っています。
それ以前に印鑑登録をされているかも不明です。
もしかしたら今回のために印鑑登録をしてもらわなければならないかもしれません。
また、印鑑登録証明書交付のために役所に足を運んでもらわなけれならないのは明確です。
お手数、お手間をかけるため、心ばかりですがお願いの気持ちを形にします。どういう形にするか、ここはいろいろ考えました。
相続放棄のお言葉に100%甘えるわけにはいきません。
義母の財産は義父が全て相続することになり、その内容で遺産分割協議書を作成します。
相続人の実印の捺印、印鑑登録証明書の交付と進みます。

印鑑登録証明書、義父の場合、大阪に連れてきて間もないころ、義父を役所に連れて行き印鑑登録の手続きを済ませています。
今さらながらよくやっていたものだと思います。
その当時の義父の状況では印鑑登録の必要があったかどうかというと疑問です。
その先、不動産を買うもしくは車を買うなどの契約行為はあり得ませんし、唯一、義父の印鑑登録が必要になる場面は義母の相続手続きしかありません。
義母は義父より7つ年下です。世間一般的には妻の方が長く存命します。
義父の現状は自分の名前ぐらいはなんとか書けます。介護の計画表には署名をしていますから。
ただ、今の義父を役所に連れて行って印鑑の登録はなかなか厳しいかもしれません。
義父の印鑑登録をしていなかったら、義母の相続手続きのために義父に成年後見人を付けなければコトが進まなかったかもしれません。
義母の遺産相続については相続人である義父と子は相対する関係となり、義父の相続手続きの代理人にはなれません。子は義父の成年後見人にはなれないということです。
仮に、義父が先で義母が相続人になった場合も同じです。
すでに義母は被成年後見人なので適切な判断能力はないとされ、義母の相続の手続きには代理人が必要です。
同じ立場の相続人である子は義母の代理人にはなれず、相続のために義母に弁護士なり第三者の代理人を立てなければなりません。
そんなことを想像すると、あの時に義父の印鑑登録をしておいてよかったとつくづく思います。
成年後見人制度は二度と利用したくありませんから。

そんな重要な局面で自身の意思表示の証拠となる実印と印鑑登録証明書ですが、印鑑登録をしたときに発行される印鑑カードがあれば委任状がなくても印鑑登録証明書は簡単に交付されます。
住民票交付のときのように委任状(理由の明記必須)の必要もなく、窓口に出向く人の本人確認だけで印鑑登録証明書は発行されるのです。
印鑑カードは非常に重要です。その存在価値を理解し、その保管には充分に気をつけないといけないと再認識しました。

こうして、全ての書類が揃いました。
それらを信託銀行に送ります。
非常にシンプルにスムーズに完了するはずでした。
書類を送付してから10日ほど過ぎたとき、信託銀行から簡易書留が届きます。
手続き完了のお知らせと返却される書類の原本(遺産分割協議書・戸籍謄本・印鑑登録書)が入っているのかと開封します。
送った書類の原本は間違いなく返ってきたのですが、遺産分割協議書に不備があり、その訂正と再送依頼のお知らせがはいっていました。
遺産分割協議書の不備は実印の相違です。実子のお一人の捺印が印鑑登録証明書のハンコと違うものだったようです。
私もそこまでじっくり確認せずに信託銀行に書類一式を送っています。
よくよく見ると確かに微妙に違います。
仕方ないので実子のお2人に遺産分割協議書の訂正のお願いをします。
遺産分割協議書は相続人がそれぞれ1通ずつ保管します。こちらにある2通を送ります。
なるべくお手間をかけることがないように協力をお願いするので、前回も今回も返送用にレターパックプラスを使います。
簡易書留なら郵便局に出向いてもらわなければなりません。
郵便局で支払いもお願いすることになります。
レターパックプラスならこちらで購入したものを送り、訂正した書類を入れてポスト投函してもらうだけで済みます。最低限のお手間をお願いする段取りです。
本来ならあちらに出向いて対面でお願いするところをコロナ禍もあり、郵送だけのやり取りで気持ちよく対応してもらいました。
こうして無事に完了しました。

下記、義母の遺産分割協議書です。非常にシンプルです。

遺産分割協議書

次は実父の遺産分割協議書です。
実父の場合、実父名義の分譲マンションがあります。これがややこしい。
毎年送られてくる固定資産税の納付用紙の添付書類を見ながら、共用部分の割り出しをしていきます。
不動産の名義変更時にも必要になるので、ここは慎重に数字を選びます。
不動産の登記はこの遺産分割協議書を持って法務局に出向きました。
やり直しの指示もなくスムーズに終えました。

ちなみに実父も義母も相続税がかかるほどの遺産ではありません。
小市民なので基礎控除額内に収まります。
現時点の相続税の基礎控除額は下記です。

3,000万円+相続人の数×600万円=相続税の基礎控除額

基礎控除額を超えるのはいわゆる富裕層と呼ばれる方々でしょうか。
その場合の相続手続きなんぞは私のようにちまちまと自力ですることなく、弁護士にお願いされるのでしよう。
配偶者が相続する場合は非課税枠があります。

配偶者の税額軽減措置
相続人に配偶者がいる場合、配偶者が取得する財産についての非課税枠。
・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分
のどちらか高いほうが限度額となる。

また、実父が亡くなったのは1年も大方過ぎた11月だったこともあり、準確定申告もしましたが、義母は準確定申告の必要はありません。その点は楽でした。
義母の場合、一面識もない実子の方とのコンタクトが一番の心配ごとでしたが、義父の今後を考え、お2人とも気持ちよく対応してくださったことに感謝の気持ちしかありません。
ただ、少し心残りなことがあります。「母とは幼いころに別れて、どこでどうしているのかと思うことがあった」という娘さんの言葉に、義母の病状が進む前に会いに来てもらえばよかったな、と心が痛みます。

大阪に連れて来てしばらくしたとき、こんなことがありました。
「広島において来た子に会いに帰るんじゃ」と言う義母を見て、「子どもはひとりしかおらんのに、おかしなことを言うんじゃ」と義父が訴えてきます。
どうしたものかと、義母と実子を会わせた方がいいのか、ケアマネさんに相談したことがあります。
答えが出ないまま過ぎてしまいました。義母の遺影と同じもの、小さいサイズにしたものを2枚、葬儀屋さんが作ってくれていました。それをお2人に送りました。

義母と実子の関係を「複雑やなぁ」と我が相方は言います。
私からしたらあなたを含めここに登場する人物は皆さん複雑やなぁ、なのです。
この一連の作業の当事者であるはずの我が相方ですが、私の状況説明を聞き、「異議がなければここに署名を」で署名をし立派にやり遂げました。
なかなかのやり手の秘書は私です(笑)。